茨城新聞 2025年04月09日掲載

企業強化へ統計必要 鳥越氏 プロ野球例に解説 茨城・日立で県北政懇
講演する鳥越規央氏=日立市旭町
県北政経懇話会の4月例会が8日、茨城県日立市旭町のホテル天地閣で開かれ、統計学者で江戸川大学客員教授の鳥越規央氏が「プロ野球に学ぶ勝てる組織の作り方」と題して講演した。統計学に基づいた選手評価や球団経営に触れ「統計は思い込みを排除する。チームや企業を強くするには統計リテラシーの向上が不可欠」と訴えた。

鳥越氏は野球の戦術や選手評価を統計学的に分析する「セイバーメトリクス」を紹介。打者評価の一つ「打点」に関して「チーム力が加味されたもの」と疑問を投げかけた上で、得点との相関関係を示しながら、出塁率と長打率を合わせた指標「OPS」が「選手の能力を正しく評価できる」と説明した。

また、財政難のメジャー球団が、年棒の安い選手を新たな統計の観点から正しく評価して集めることで、チームを好成績に導いた事例を紹介。統計に基づく運営の有用性を強調した。

横浜DeNAベイスターズが観客の性別や年齢層などデータに基づいた商品開発や企画を行い、観客動員数を倍以上に押し上げたことを高く評価。「データを正しく集計することで真実が見える」と語った。