茨城新聞 2025年03月14日掲載

既存の価値観見直しを 小林氏 人口減の対応解説 茨城・日立で県北政懇
講演した小林味愛氏=日立市幸町
県北政経懇話会の3月例会が13日、茨城県日立市幸町のホテルテラスザスクエア日立で開かれ、農産物流通事業などを手がける「陽と人」代表の小林味愛氏が「人口減少社会で地方の生きる道-共存共栄の仕組みをつくる」と題して講演した。小林氏は人口減少への対応として、既存の社会構造や価値観の見直しを訴え、「課題が多い地方こそ可能性があふれている」と語った。

小林氏は、同社が福島県国見町で展開する農業事業を紹介し、「持続可能な仕事をつくることができれば、さらに人が呼び込める」と持論を展開。モモの生産農家が廃棄していた規格外品を全て買い取って集出荷し、ネットでも直販。農家の所得増加につなげる取り組みを説明した。

また、「(今は)従業員に会社が合わせる時代」と指摘し、企業が若者と女性に選ばれるための条件について語った。勤務時間や在宅ワークなどの柔軟な制度導入や、働きがいのある環境整備の必要性も訴えた。

加えて、無意識の思い込み(アンコンシャスバイアス)にも触れ、「自分たちの当たり前の思考や常識が地域の創造性を抑制している」と注意を促した。