茨城新聞 2025年03月07日掲載

高齢者の定義見直しを 矢野氏 財政の改善策指摘 水戸で茨城政懇
日本の財政状況を解説する矢野康治氏=水戸市宮町
茨城政経懇話会の3月例会が6日、茨城県水戸市宮町のホテルテラスザガーデン水戸で開かれ、元財務省事務次官の矢野康治氏が「我が国の財政について-不都合な真実を正視し、打開する-」をテーマに講演した。歳出の拡大に比べ税収の伸びが小さい日本財政の問題点に触れ、「長寿大国なので働く人が増えればGDPも増える。高齢者の定義を変えよう」と提言した。

矢野氏は「わが国の財政はアフリカや南米よりも悪く、世界最悪」と切り出した。1990年度のバブル崩壊以降、歳出の拡大に税収は伸び悩み、公債発行で穴埋めされてきたと説明。歳出の社会保障費は同年度の11.6兆円から2025年度は38.3兆円と3倍以上に増えたとし、「生産人口は増えず、高齢化で年金などの支給対象者が増えたことが要因」と語った。

さらに、国と地方の債務残高や日銀の金利政策、コロナ対策なども財政悪化を招いたと指摘。「長く働きたい国民は多い。平均寿命とともに健康寿命も延びており、働ける領域は広がっている。現状のままでは担い手は増えない」と高齢者の定義を見直す必要性について述べた。