茨城新聞 2024年09月18日掲載

「経済的存在感増す」 磯野氏 新興国の影響力展望 神栖で茨城鹿行政懇
講演するジェトロ・アジア経済研究所の磯野生茂氏=神栖市大野原
鹿行政経懇話会の9月例会が17日、茨城県神栖市大野原の鹿島セントラルホテルで開かれ、ジェトロ・アジア経済研究所の磯野生茂氏が「グローバルサウスの経済的影響力」と題し講演した。新興・途上国「グローバルサウス」の人口が世界全体の約6割と圧倒していることや貿易シェアが伸びていることなどを挙げ、「将来的に経済的な存在感が増していっても不思議ではない」と展望した。

米国を中心とする西側諸国と中国を中心とする東側諸国が貿易や人の移動などに制限をかけた場合のシミュレーションでは、「どのグループにも属さない国が相対的に有利になる」と分析。制裁に参加する国や世界経済にはマイナスの影響があるが、グローバルサウスなどの中立国は分断が激化するほど経済的なメリットが大きくなり、「漁夫の利」を得るとした。

東南アジア諸国連合(ASEAN)が中立を保てた場合は、同諸国の電気電子産業への影響もプラスになると推測。既に電子電気に関する産業集積があり、世界の大市場にアクセスできることから「中国からの生産代替先を探す際に、ASEANが第1候補となる」と指摘した。