茨城新聞 2024年09月05日掲載

新興国けん引 実利重視 伊藤氏 インド情勢分析 水戸で茨城政懇 
講演する伊藤融氏=水戸市宮町
茨城政経懇話会の9月例会が4日、茨城県水戸市宮町のホテルテラスザガーデン水戸で開かれ、防衛大教授の伊藤融氏が「インドの『グローバルサウス』戦略と日本」と題して講演した。伊藤氏は、グローバルサウス(新興・途上国)でインドがリーダーとしての立場を取っていることについて「実利の観点から非常に便利な概念として用いている」と語った。

伊藤氏は、インドがグローバルサウスの概念を掲げる意図について、ロシア産の原油・肥料の輸入に対していら立つ西側への反論や、中国による巨大経済圏構想「一帯一路」へのけん制、G20議長国として成果を挙げたことなど実利面を強調した。

日本は、岸田政権がいち早くグローバルサウスの概念に同調し、そのリーダーであるインドが重要なパートナーであるとの立場を示した。ただ伊藤氏は、モディ政権による宗教やメディア弾圧などの政策を例に挙げ、「欧米からは民主主義の後退が指摘されている」と説明。日本のインドへの対応について「中長期的に見て必ずしも賢明であるとは言えない」と警鐘を鳴らした。