茨城新聞 2024年05月24日掲載

イスラエルとハマス 衝突の発端、欧州に 青山氏講演 茨城・神栖で鹿行政懇
講演する青山弘之氏=神栖市大野原
鹿行政経懇話会の5月例会が23日、茨城県神栖市大野原の鹿島セントラルホテルで開かれ、東京外国語大学教授の青山弘之氏が「イスラエル・ハマス衝突」をテーマに講演した。パレスチナで人々が衝突するようになった元々の発端は欧州の反ユダヤ主義にあるとし、「異質な存在を排除する傾向は全ての国が共有している。歴史的課題として認識する必要がある」と強調した。

ハマスはパレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム組織で、昨年10月にイスラエルを攻撃。イスラエル側も応酬し、双方に多数の犠牲者を出す事態となっている。

この衝突について「単なるイスラエルとハマスの対立と捉えられがちだが、本来はアラブ諸国とイスラエルの対立の一環」と解説。「アラブ諸国が負けていったことで、残されたパレスチナの勢力とイスラエルの紛争に見えてしまっている」と指摘した。

さらに欧州で排斥されたユダヤ教徒がイスラエルを建国した経緯から「発端は欧州の近代化の過程に求めることができる」と説明。「歴史の流れの中で(衝突についての)捉え方がどんどん矮小(わいしょう)化されてきた」と分析した。