茨城新聞 2024年05月16日掲載

「隠れた紛争広がる」 半沢氏 パレスチナ現状解説 茨城・日立で県北政懇
講演する半沢隆実氏=日立市旭町
県北政経懇話会の5月例会が15日、茨城県日立市旭町のホテル天地閣で開かれ、共同通信論説委員の半沢隆実氏が「パレスチナの過酷な日常-記者が歩いた占領地」をテーマに講演した。現地で取材した一部のイスラエル人によるパレスチナ人への迫害や暴力に触れ「隠れた紛争は確実に広がっている」と懸念を示した。

半沢氏は2月、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区を約2週間取材。昨秋のハマスの攻撃とイスラエルの報復で「憎しみが増長した」と現地の印象を語り、ガザ地区の惨状を説明した。

その上で、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区でも「復讐劇が起こっている」と指摘。イスラエル人の入植が顕著になり、パレスチナ人に対する暴力が日常化していることを説明した。具体的には、パレスチナ人の給水設備の破壊、家畜への危害などを挙げた。

入植者の犯罪訴追率の低さも指摘。パレスチナ人の学校で防犯対策の避難訓練が行われており、危険と隣り合わせで生きるパレスチナ人の現状を紹介した。

最後に迫害に加担する極右政党が選挙で拡大したことを指摘し「民主主義が紛争を防ぐとは限らない」と強調した。