茨城新聞 2024年05月09日掲載

アラブ諸国団結必要 池内氏 ガザ紛争解決策探る 水戸で茨城政懇 
講演する池内恵氏=水戸市宮町
茨城政経懇話会の5月例会が8日、同県水戸市宮町のホテルテラスザガーデン水戸で開かれ、東京大学先端科学技術研究センター教授の池内恵氏が「ガザ危機をめぐる中東の政治と外交」と題して講演した。昨年10月にイスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃し、和平交渉が進展しない点に触れ「鍵を握る米国の影響力は低下している。アラブ諸国が団結し新たな解決策を探る必要がある」と述べた。

冒頭、ハマスによる越境攻撃で「国際社会はパレスチナ問題が未解決だと思い出した」と説明。イスラエルのネタニヤフ首相は「ハマスの根絶」を最重要視するため、紛争は長期化すると予測した。「イスラエル寄りの米国は和平交渉に強い影響力を持つはずだが、11月の大統領選挙を前に強く出られない」と分析し、パレスチナ問題が後回しにされた実情を述べた。

米国の支援を受けて国家として存続してきたイスラエルだが「支えを必要とせず圧力をはねるようになった」と指摘。「世界はパレスチナ問題を置き去りにしている。米国と友好的なアラブ諸国が団結してイスラエルと対話し、和平の道筋を模索するべき」と強調した。