茨城新聞 2024年04月25日掲載

「緩やかな景気回復続く」 神田氏 日本経済を展望 茨城・つくばで県南西政懇
講演する神田慶司氏=つくば市小野崎
茨城県南西政経懇話会の4月例会が24日、同県つくば市小野崎のホテルグランド東雲で開かれ、大和総研シニアエコノミストの神田慶司氏が「デフレ脱却を見込む2024年の日本経済の展望」をテーマに講演した。日本の実質国内総生産(GDP)が来年度にかけて1%前後成長するとして「緩やかな景気回復が続く」と見通した。

神田氏は23年度の国内経済を振り返りながら、実質GDP成長率が先進7カ国(G7)で2番目に高かった点に加え、国内企業の経常利益が過去最高を更新したことを指摘。コロナ禍前の19年度と比べて「かなり高い水準にある」と指摘した。

国内経済の先行きについては、自動車の受注残解消や半導体市況の回復、インバウンド需要の増加などが下支えしていると説明。だた、家計の貯蓄が高水準となる一方、「原資があっても消費に慎重になっている」と分析した。

国際経済を取り巻くリスクとして、米中対立や中東情勢、ウクライナ情勢の緊迫化といった地政学的な要因を挙げた。特に米中対立が激化した場合は「対中依存の日本にとって大きなマイナス」とし、経済安保リスクが生まれることに危機感を示した。