茨城新聞 2024年04月03日掲載

実質経済の伸び必要 中塚氏 金融政策展望語る 水戸で茨城政懇 
講演する中塚伸幸氏=水戸市宮町
茨城政経懇話会の4月例会が2日、茨城県水戸市宮町のホテルテラスザガーデン水戸で開かれ、三菱UFJリサーチ&コンサルティング執行役員調査部長の中塚伸幸氏が「今後の内外経済と金融政策の展望」と題して講演した。株価が最高値を更新したものの景気回復の実感が乏しい日本経済に触れ、「インフレにより名目経済は堅調だが、持続的な成長を考えた場合、実質経済も伸びていかないといけない」との見解を示した。

中塚氏は2020年以降の日米の需給の変化、インフレや金融政策の動向を比較。今の世界の経済状況について「コロナパンデミックという大きな混乱から正常化していく過程の終わりぐらい」とした。日本の成長率について「ポイントはインフレと金利、賃上げ。本年度は1%弱の緩やかな成長になる」と見通した。

3月の「異次元緩和」修正に関し「金利のある世界が見える入り口に立った。当面は緩和的な金融環境が続く」と説明。「物価上昇率は鈍化していく。政策金利は年内に0.25%まで上がるかどうか」と見据えた。

深刻化する人手不足への対処策については「高齢者と女性の労働参加に余地がある。外国人労働者に力を借りることも必要」と指摘した。