茨城新聞 2026年07月24日掲載
鹿島 J参入「知恵絞った」 元県部長の北畑氏講演 茨城・水戸で合同政懇

「鹿島アントラーズの誕生と奇跡」をテーマに講演する北畑隆生氏=水戸市千波町
50年、兵庫県生まれ。72年に通商産業省(現経済産業省)に入省。90年から県商工労働部長を務め、鹿島のJリーグ誘致へ関係者との調整役を担った。2006年に経済産業事務次官に就任。08年の退官後も多方面で活躍。現在、国際経済連携推進センター理事長などを務めている。
この日の講演では、「コンビナート砂漠」と揶揄(やゆ)されていた鹿嶋地域を「若者や女性が住みたくなるまちにしてほしい」と、当時の竹内藤男知事から打診されたエピソードを紹介。アイデアを出し合う中で、住友金属サッカーチームに着目した経緯を説明した。
日本サッカー協会の川淵三郎プロ化検討委員長が「99.9999%可能性はない」と難色を示し、地元の盛り上がりも欠く中、参入に向けた誘致交渉を粘り強く継続。鹿島アントラーズ誕生に向けて、住友金属と同じく鹿島臨海コンビナートを形成する三菱油化(現三菱ケミカル)と協力関係を築く後押しもしたと明かした。
川淵氏が屋根付きのサッカー専用スタジアム(現メルカリスタジアム)の建設を提案してきたことで「一筋の光明が見えた」と判断。竹内知事に直談判し、即断即決を得たと振り返った。また、ブラジルの英雄だったジーコ氏には当初、チームのコーチ着任を要請したところ、本人は選手としての現役復帰を決断。結果的にチーム力の強化が図られたと語った。
水戸ホーリーホックについても、地域に根を張ってきたこれまでのエピソードに言及。今年、ついにJ1で「茨城ダービー」が実現し、「茨城はサッカー王国になった」と喜んだ。
【出席者のコメント】
■坂下徳隆・NTT東日本茨城支店長 手法ヒントになった
官民が連携したサクセスストーリーから、行政の柔軟な対応や対話の重要性を実感した。特に「地域名を冠する」ことで住民にアイデンティティーを持たせる手法は、持続可能なまちづくりのヒントになった。通信事業でも、住民が誇りを持てる社会課題解決を目指したい。
■湯浅直幸・日立埠頭社長 情熱と行動力に感銘
鹿島アントラーズの誕生秘話、苦労された方の生の声を聴ける貴重な機会だった。特に北畑さんの情熱と行動力に深い感銘を受け、しっかり夢を持つことの大切さを再確認した。自分の仕事や趣味にフィードバックできたらと思う。
■山口やちゑ・清真学園理事長 不可能を可能にした
川淵三郎さんの「『時期尚早』はやる気がない、『前例がない』はアイデアがない」との言葉が印象的。関係者はスピード感を持ってやり遂げ、不可能を可能にした。今では鹿嶋といえば誰もが鹿島アントラーズを思い浮かべる。クラブの創設で、若者にも魅力ある街になった。
■関正樹・関彰商事社長 過去を学ぶこと大切
鹿島アントラーズがどう生まれたか、勉強になった。「賢者は歴史を学ぶ」というが、会社でも地域でも過去を学ぶことが大切と再認識した。悩む時間があったら、とにかく進むという姿勢が成就した。経済が混迷する今の時代だからこそ、新しいことに挑戦する大切さを改めて知った。
■四本恵子・書家 努力あって物事成立
当初、99.9999%無理とされたサッカーのプロ化を成し遂げ、日本だけでなく世界にまで知られるようになった鹿島アントラーズの誕生秘話を知ることができて良かった。一つの物事を決めるには、いろいろな角度からの検討とそれぞれの方の努力があって成り立つのだと改めて感じた。